The Pillars Of Faith (Belief In Allaah 2)

Articles Subject Information
Title: The Pillars Of Faith (Belief In Allaah 2)
Language: Japanese
The Writer: Muhammad Bin Ibrahim Al-Tuwajre
Translation: Saeed Sato
Reviewing: Fatiha Sato
Publisher: Islamic Propagation Office in Rabwah
Short Discription: This article is quoted from the book of " Summary Of Islamic Jurisprudence"about difference of levels of faith among people and that faith isn’t just uttering but also deeds and that it increases by obedience and decreases by disobedience
Addition Date: 2008-01-13
Short Link: http://IslamHouse.com/73572
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イーマーンの増大 - アッラーがイーマーンに対して約束されたこと
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イーマーンの増大 - アッラーがイーマーンに対して約束されたこと
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Detailed Description
イーマーンの増大
 
● イスラームという宗教の基礎は偉大かつ荘厳なるアッラーを信仰(イーマーン[1])することであり、またかれとその美名と属性、かれの御業と無尽の宝庫、そして信仰しかれに従う者への成功の約束と、かれから背き去る者に対する懲罰を確信することです。全ての行い及びイバーダ(崇拝行為)の構造と、それらが果たしてアッラーに受け入れられるかどうかという事柄は、ひとえにこの大きな土台にかかっているのです。このイーマーンが弱くなったり欠損したりすると、全ての行いやイバーダ(崇拝行為)も脆弱なものとなり、諸々の状態が好ましくないものとなります。
 
 そして私たちの生活をイーマーンで満たし、かつそれを増幅させるためには、次に示すような事柄を知る必要があります
 
1、露わなものであれ秘められたものであれ、あるいは大きいものであれ小さいものであれ、万物の創造主がアッラーであることを知り、確信すること:諸天地もかれの玉座も、星々も惑星も、海洋も山々も、その創造主はアッラーなのです。またかれこそは人間と諸々の動植物、及び物質の創造主であり、かつ天国と地獄を創られたお方なのです。-アッラーこそは全ての創造主であり、全ての被造物の諸事を執り行われるお方なのである。,(クルアーン3962
 
私たちは、私たちの心にイーマーンを深く根付かせるべく、これらのことを語り、聴き、考えます。そして万象の中に顕現するかれのみしるしと、クルアーンの中に散りばめられたみしるしを、熟慮と検証の視点をもって入念に観察します。アッラーご自身が、私たちにこうすることを命じられたのです:
 
     至高のアッラーは仰られました:-(ムハンマドよ、彼らに)言うのだ、「諸天地にあるものを観察せよ。」しかし信仰しない民には、みしるしも警告も益することがない。,(クルアーン10151
 
     至高のアッラーは仰られました:-一体彼らはクルアーンを熟読吟味しないのか?いや、彼らの心には鍵がかけられているのだ。,(クルアーン4724
 
     至高のアッラーは仰られました:-そして(クルアーンの)一句が啓示されると、ある者たちは言う。「一体それによって誰のイーマーンが増大するというのか?」実に信仰する者たちこそがそれを嬉々として迎え入れつつ、イーマーンを増大させるのだ。,(クルアーン9124
 
2、また私たちは次の事柄を知り、確信します:アッラーが被造物をお創りになり、それらにそれぞれの効用をお創りになられたこと。つまりかれが眼をお創りになり、それに視覚という効用を与えられたこと。また耳をお創りになり、それに聴覚という効用を与えられたこと。また舌をお創りになり、それに言葉という効用を与えられたこと。また太陽をお創りになり、それに光という効用を与えられたこと。また火をお創りになり、それに燃焼という効用を与えられたこと。また木をお創りになり、それに果実という効用を与えられた、ということなどです。
 
3、また私たちは次の事柄を知り、確信します:全ての被造物を所有し、そこにおいて采配を振るい、かつ管理運営するのはアッラーのみであり、そこにおいて何ものもかれに共同したり参与したりすることがないこと。つまり天地にある全てのものは大きいものも小さいものも、全てアッラーなしには生きてゆけないかれのしもべであること。また全ての被造物は自分自身では益することも害することも援助することもなく、死も生も復活も司ることは出来ないこと。実にアッラーこそがかれらの真の所有者なのであり、かれらが皆アッラーを必要とする一方、アッラーはかれらを必要とはしていないこと。かれは自己完結した唯一の存在なのです。
 
そして崇高なるアッラーこそは万物を統御し、被造物の全ての事柄を管理されるお方です。つまり天地、水と海洋、火と風、動物と植物、諸惑星と物質、指導者たちや大臣たち、富者と貧者、強者と弱者などの間において真の采配を振るうのはアッラーのみなのであり、そこにおいて何ものもかれに参与するものはないのです。
 
偉大かつ荘厳なるアッラーこそはその偉力と英知により、お望みのままに物事を操られる御方です。彼は何かをお創りになりつつ、そのお力によりそのものの効用を無効にされることもあります。つまり視覚を伴わない眼や聴覚の備わっていない耳、言葉を発することの出来ない舌などがそうであり、それと同様に海から溺れさせる性質や、火から燃焼の効用を奪ってしまわれることもお出来になります。崇高なるアッラーは現実にそれらのことを行われました。それというのもかれこそが全宇宙においてお望みのままに采配を振るわれるお方であり、かれ以外に真に崇拝すべきものが存在しないところの、唯一かつ全てを制圧されるお方であるからです。かれには全てが可能なのです。
 
     一方で、ある種の人々の心は創造主よりも被造物の方に傾きがちです。そして崇高なる創造主を忘れて、被造物の方に愛着を抱いたりします。しかし私たちに求められているのは、前出の知識や視点をもって被造物からそれらをお創りになり形づくられた創造主の方へと移行し、そしてかれに何ものも並べることなく崇拝することなのです。
     至高のアッラーは仰られました:-(ムハンマドよ、彼らに)言え、「天と地からあなた方に糧を与えられるお方は誰だ?また聴覚と視覚を司られ、そして死から生を抽出され、かつ生から死を抽出されるお方、全ての物事を運営されるお方は?」すると彼らは言うだろう:「アッラーである。」と。一体あなた方は(アッラーの警告や懲罰を)恐れないのか?それこそがアッラー、あなた方の真の主である。真実(の主への服従)を放棄すれば、そこには迷妄があるのみなのだ。一体何があなた方を(アッラー以外のものへと)向かわせるのか?,(クルアーン103132
 
4、また私たちは全てのものの源泉における裁量が、誰ならぬアッラーのみに委ねられていることを知り、確信します。つまり存在する全てのものの源泉はアッラーの御許にあります。飲食物、種子類や果実類、水や風、財宝や海洋、山々などその他全てのものの鍵はアッラーの御手に委ねられているのです。それゆえ私たちは必要なものに関しては全てアッラーに頼み、訴え、かつかれに対するイバーダ(崇拝行為)と服従行為にいそしむのです。崇高なるアッラーこそが全ての必要を満たしてくれるお方であり、祈りを聞き届けて下さるお方なのです。また頼み事をするのにかれほどふさわしい存在はなく、かれこそは最もよくお恵みになられるお方です。かれがお与えになるものを阻むものはなく、かれが阻まれたものは何ものもそれを引き出すことが出来ません。
 
1-至高のアッラーは仰られました:-そして全てのものには、われら(アッラーのこと)の御許にその宝庫があるのだ。そしたわれらはそこから、決められた適当な量を放出するのである,(クルアーン1521
 
2-至高のアッラーは仰られました:-(そしてアッラーにこそ、諸天と大地の宝庫は属する。しかし偽信者たちは思慮しないのだ。,(クルアーン63:7)
 
     偉大かつ荘厳なるアッラーの御力:
 
偉大かつ荘厳なるアッラーには完璧な偉力が属しています。かれは水を植物の成長の原因とされ、性交を出産の原因とされたように、ある原因をもって生活の糧など諸々のものを被造物にお恵みになります。そして私たちは原因の存在する世界に居住しているゆえ、合法的な諸原因を獲得するべく努力するのです。そしてアッラー以外の何ものにもタワックル(自らの身を完全に委ねること)することはありません。
 
しかし時にアッラーは、原因を介することなく生活の糧など諸々のものを被造物にお恵みになることがあります。かれが「あれ。」とさえ仰れば、それは現実になるのです。その例としてアッラーはマルヤム(マリヤ)に、その時期には存在しないはずの果実をお恵みになりましたし、また男性を介することなく彼女に息子イーサー(イエス)を授けられました。
 
また時に崇高なるアッラーは、その御力をもってその原因とは逆の結果に転じさせることもお出来になります。例えばかれはイブラーヒーム(アブラハム)が火刑に処されかけた時、その火を冷涼かつ無害なものとされました。またムーサー(モーゼ)たちを海に溺れさせることなく追っ手から救われた一方で、その同じ海でフィルアウン(ファラオ)とその民を溺死させられました。同様にユーヌス(ヨナ)は大魚の腹の中と大海の暗黒の中で、アッラーによって救われています。至高なるアッラーは仰られました:-実にかれのご命令というものは、ただ何かをお望みになられたときに「あれ。」と仰られるだけで、それが実現するのである。,(クルアーン3682
 
     これらは被造物に関してのことですが、次に「状態」に関して考察しましょう:
 
1.私たちは以下のことを知り、確信します:あらゆる状態の創造主は誰ならぬアッラーであること。つまり富や貧しさ、健康や病、喜びや悲しみ、笑いや涙、栄光や零落、生や死、平安や恐怖、暑さや寒さ、正導や迷妄、幸福や不幸といった状態は、全て崇高なるアッラーがお創りになられたということです。
 
2.また私たちは以下のことを知り、確信します:全ての物事を管理し、これらの状態を司るお方は他ならぬアッラーのみであること。つまりアッラーのご命令なくして貧困が富に取って代わることはなく、病が健康に取って代わることはないこと。またアッラーのご命令なくして零落から栄光へと移行することはなく、笑いが涙に取って代わることはないこと。またアッラーのお許しなくして生が死に取って代わることはなく、寒さが暑さに取って代わることもなく、迷妄から正導に移行することもない、ということ。
このように状態というものは崇高なるアッラーのご命令によって訪れ、かれのご命令によって増減し、また継続したり終焉を迎えたりします。それゆえ私たちはこれら状態の変化を司るお方のみにこそ、かれが定められた手法に則ったイバーダ(崇拝行為)や善行などによって、その変化を請うべきなのです。-言うのだ、「王国の所有者アッラーよ、あなたこそはお望みになる者に王権をお与えになり、お望みになる者から王権を剥奪されるお方。またお望みになる者に威光をお与えになり、お望みになる者を低く貶められるお方。実にあなたの御手にこそ全てのよきものがあります。あなたこそは全てを可能にされるお方です。」,(クルアーン326
 
3.また私たちは以下のことを知り、確信します:前出の全ての状態、及びその他の全ての状態の源泉はアッラーのみに属するのであり、そこにおいて何ものもかれに参与したり共同したりすることがないということ。それゆえもし崇高なるアッラーが健康や富、あるいはその他のものをお与えになったとしても、その源泉自体が減少したりすることはありません。もし全てのものがそこから何かを恵み受けたとしても、それによって崇高なるお方の宝庫は大海に落ちた一本の針を拾い上げた時についてくるしずく程度の量すらも影響を受けることがありません。実にアッラーこそは唯一自己完結した、真に讃えられるべき存在であり、かれ以外に真に崇拝すべき存在はないのです。
アブー・ザッル(彼にアッラーのご満悦あれ)によると、預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は至高のアッラーがこう仰られた、と伝えました:
 
「わがしもべたちよ!われは自らに不正を禁じ、またそれをあなた方の間に関しても禁じたのだ。ゆえに互いに不正を働き合ってはならない。
わがしもべたちよ!われが正道へと導くことがなければ、あなた方は皆迷妄の中にあるのだ。ゆえにわれに正しい導きを求めよ、そうすればわれはあなた方を導くであろう。
わがしもべたちよ!われが糧を与えることがなければ、あなた方は皆飢餓の中にあるのだ。ゆえにわれに糧を求めよ、そうすればわれはあなた方に糧を与えるであろう。
わがしもべたちよ!われが衣服を着させることがなければ、あなた方は皆裸なのだ。ゆえにわれに衣服を求めよ、そうすればわれはあなた方に衣服を着せてやろう。
わがしもべたちよ!あなた方は昼に夜に過ちを犯すものであるが、われは全ての罪を赦すことが出来るのである。ゆえにわれに罪の赦しを請うのだ、そうすればわれはあなた方の罪を赦すであろう。
わがしもべたちよ!あなた方はわれを害することも出来なければ、われを益することも出来ない。
わがしもべたちよ!もしあなた方の内の最初の者と最後の者[2]、人間とジン[3]が皆あなた方の内で最もアッラーを畏れる者の心のようであっても、それがわが王国に少しの増大ももたらすことはない。
わがしもべたちよ!もしあなた方の内の最初の者と最後の者、人間とジンが皆あなた方の内で最も放埓な者の心のようであっても、それがわが王国に少しの欠損ももたらすことはない。
わがしもべたちよ!もしあなた方の内の最初の者と最後の者、人間とジンが一同1つの丘に立ってわれに何かをこいねがい、そしてわれが各人の願いを叶えてやったとしても、それはわが御許において大海に落ちた一本の針を拾い上げた時についてくるしずく程度の量すらも影響を受けることがない。」(ムスリムの伝承[4]
 
     こうしてアッラーを信仰する者たちというものは、アッラーの預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の正導に則ってアッラーのご命令に従います。偉大かつ荘厳なるアッラーはこのような者たちをお悦びになられ、その者が富者であろうと貧者であろうと、その宝庫からお恵みになられます。また彼らをお支えになり、援助され、彼らを天国の住人とされ、お守りになられます。そしてアブー・バクルやウマル、ウスマーン(彼らにアッラーのご満悦あれ)のように権勢を備えていた者たち[5]であれ、あるいはビラールやサルマーンやアンマール(彼らにアッラーのご満悦あれ)ら[6]のように社会的地位の低かった者たちであれ、アッラーはそのような者たちをイーマーンという威光で栄誉付けて下さるのです。
一方アッラーを信仰しない者たちはと言えば、例え彼らが王権や財産といった権勢を備えていたとしても、アッラーによって貶められます。ちょうどフィルアウン(ファラオ)やカールーンやハーマーンら[7]がそうなったように、惨めな結末を迎えることになるのです。またアッラーを信仰しない者たちの内でそもそも惨めな境遇にある者たちは、シルク[8]を犯している他の貧者たちのように、アッラーによって貶められます。
 
     またアッラーは人間をイーマーンと正しい行い、そして他の何ものも並べることなくその主のみにイバーダ(崇拝行為)を捧げるようにとお創りになられたのであり、財産や欲望や物質を追求させるためにお創りになられたわけではありません。ゆえにその主へのイバーダ(崇拝行為)をなおざりにしてそれらの物事に没頭する者たちは、アッラーがそれらをもって彼らを蹂躙し、そしてそれらを現世における彼らの不幸と破滅と損失の原因とされるでしょう。至高のアッラーは仰られました:-ゆえに彼ら(偽信者たち)の財や子孫(の多さ)に惑わされるのではない。実にアッラーは現世ではそれらをもって彼らを罰せられ、彼らが不信仰者として滅びることをお望みなのだから。,(クルアーン955
 
     勝利と成功の諸原因:
 
偉大かつ荘厳なるアッラーは全ての人間‐富者であろうと貧者であろうと‐に対し、勝利と成功の諸原因をお創りになられました。一方財産や地位などそれ自体には勝利と成功が存在しない諸原因については、ある者たちを他の者たちより優遇されます。しかし現世と来世における勝利と成功のただ1つの原因というのは、イーマーンと正しい行いなのであり、それは誰しもが平等に与えられている権利なのです。イーマーンの宿る場所は心ですが、心は全ての者に備えられています。また正しい行いを実行する場所は身体ですが、それもまた全ての者に備わっています。こうしてその心にイーマーンを有し、かつその身体によって正しい行いを実践する者は、現世と来世における勝利者なのです。それ以外の者たちは損失者に他なりません。
 
1-現世と来世における勝利と成功は、イーマーンと正しい行いによってのみ達成されます。そしてアッラーの御許での人の価値というものは、イーマーンの強さと実践する正しい行いによってこそ決定されるのであり、財産や物質や地位によって決められるわけではありません。
ある者たちはまるでナルムード[9]やフィルアウン(ファラオ)のごとく、勝利と成功とは王権や王国などにあると考えます。また別の者たちはアードの民[10]のように、それが偉力の中にこそ存在すると考え、またある者たちはシュアイブ[11]の民のようにそれが商業力の中にあると考えています。また別の者たちはサバア[12]の民のようにそれが農業力の中にあると考え、また他の者たちはサムードの民[13]のごとくそれが工業力の中にあると考え、またある者たちはカールーン[14]のようにそれが富の中にあると考えます。
偉大かつ荘厳なるアッラーはこのような民に対し、預言者や使徒を遣わされました。彼らはこれらの民を、アッラーのみを崇拝してそこに何ものをも並置しないことへといざないました。そして勝利と成功とは彼らが耽溺しているような物事に存在しているのではなく、イーマーンと正しい行いこそにあることを明らかにしたのです。
 
1.     至高のアッラーは仰られました:-そしてアッラーとその使徒に従い、アッラーを畏れ、(そのお怒りや懲罰の原因となるような物事から)身を慎む者。彼らこそは勝利者である,(クルアーン2452
 
2.     至高のアッラーは仰られました:-不可知の領域を信じ、サラー(礼拝)を行い、われら(アッラーのこと)が与えるものの中から施す者たち。そしてあなたに啓示されたものと、あなた以前に啓示されたものを信じ、来世を確信する者たち。彼らこそはその主からの正しい導きにある者たちであり、そして彼らこそは成功者なのである。,(クルアーン235
 
2-そして件の民たちは使徒たちを嘘つき呼ばわりし、不信仰の状態に固執し続け、かつ彼らが享受していたところのものに騙されました。ゆえにアッラーは彼らを滅ぼされ、その預言者と使徒、そして彼らの追従者を救出され、敵に対しての勝利を授けられたのです。
 
1.       至高のアッラーは仰られました:-そしてわれら(アッラーのこと)は、(それらの民)全てをその罪ゆえに罰した。彼らの内のある者たちには砂礫の大嵐を送り、またある者たちは轟音でもって捉えた。またある者たちはその地の下に沈めてしまい、またある者たちは溺死させた。アッラーが不正を行われたのではなく、彼らこそが不正を働いていたのである。,(クルアーン2940
 
2.       至高のアッラーは仰られました:-そしてわれら(アッラーのこと)の命令が下されたとき、われらはわれらの慈悲をもってサーリフ[15]と彼と共に信仰した者たちをその日の恥辱から救った。実にあなたの主は強力で威光高きお方である。また不正を働いていた者たちを轟音が襲い、彼らは彼らの家の中で突っ伏して息絶えた。,(クルアーン116667
 
     イーマーンの徒の優劣:
 
1被造物のイーマーンのレベルの相違
 
       天使のイーマーンは固定されており、増減することはありません。彼らはアッラーのご命令に対して逆らうこともなく、ただそれを忠実に実行します。天使同士の間でもイーマーンのレベルの差があります。
 
       諸預言者と使徒たち(彼らにアッラーからの祝福と平安あれ)のイーマーンは、彼らのアッラーに関する知識の完全さゆえ減少することはありません。彼ら自身の間でもまたイーマーンのレベルの差があります。
 
       その他のムスリムのイーマーンはアッラーへの服従行為によって増大し、反逆的行為によって減少します。彼ら個人の間でもまたイーマーンのレベルは異なり、そしてイーマーン自体に関しても様々な段階があります。
   イーマーンの初歩的段階において、ムスリムは偉大かつ荘厳なるアッラーにのみイバーダ(崇拝行為)を捧げ、そしてそこにおいて喜びを感じ、またそれを遵守します。そして自分より高い地位にある者たち、あるいは自分と同等の者たちとよき品行をもって接することは、自らと他人への不正を抑制するためのより強いイーマーンを必要とします。また統治者とその臣民、家族の長とその扶養家族など、自分より低い地位にあるような者たちとのよい関係においては、それらの者たちへの不正を自らに禁じるためのより強いイーマーンが必要となります。そしてイーマーンが増大すればするほど、確信と共に正しい行いも増大します。こうしてしもべはアッラーの権利とそのしもべたちの諸権利を満たすのです。それは創造主と被造物に対しての高徳であり、現世と来世における最高の地位なのです。
 
 2-全てのしもべは流動し、留まることがありません。上昇するか下降するか、あるいは前進するか後退するかで、自然界においてもイスラーム法的視点からも完全に停滞することはないのです。それゆえ全てのしもべは目まぐるしい速さで、天国あるいは地獄に向かって諸段階を移動し続けるのです。速い者と遅い者、近づく者と遠のく者の差はあっても、停滞することはありません。彼らの間の違いは向かっている方角と、その速度の速さと遅さのみにあります。ゆえにイーマーンと正しい行いをもって天国へと歩みゆこうとしない者は、不信仰と悪行をもって地獄へと近づいてゆく者なのです。
 至高のアッラーは仰られました:-(これら地獄の描写と喚起は)人類に対しての警告である。そしてあなた方の内アッラーと天国に向かって)進みゆこうとし、あるいは(アッラーと地獄の業火から)遠のこうと望む者のため(の警告であるのだ)。,(クルアーン743637
 
 3-イーマーンの徒は各自イーマーンにおいて、非常な多様さのもとに異なっています。諸預言者及び使徒たちのイーマーンはそれ以外の者たちのそれとは異なり、預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の教友たちのイーマーンはそれ以外の者たちのそれとは異なります。また正しい信仰者たちのイーマーンは、ムスリムの内の放埓者たちのそれと同様ではありません。これらの違いはアッラーとその美名と属性、アッラーの御業とかれがしもべのために定めて下さった物事に関する知識、またアッラーを畏れそのお怒りや懲罰に触れるような事柄から身を慎もうとする心などの差異によって生じてきます。「ラー・イラーハ・イッラッラー(アッラー以外に真に崇拝すべきものはなし)」という証言の言葉が信徒たちに与える光の明るさの多様さは、至高のアッラーのみがその詳細をご存知なのです。
 
 4-アッラーを最も熟知する被造物は、かれを最も強く愛します。それゆえ使徒たちはアッラーへの愛が最も強い者たちであり、その比類のない偉大さを最もよく自覚しかつ讃える者たちでした。アッラーをその本質、その慈しみと恩恵、その美しさ、その荘厳さゆえに愛することはイバーダ(崇拝行為)の基本です。そしてその愛が強まれば強まるほどかれへの服従行為は完全なものとなり、かれを偉大に思う心は強まり、かれによる喜びと安楽はより完結したものとなるのです。
 
アッラーがイーマーンに対して約束されたこと
 
● 偉大かつ荘厳なるアッラーは現世と来世において、イーマーンの徒に沢山のお約束をされています:
 
1現世におけるお約束には次に示すようなものがあります
 
     成功:崇高なるアッラーはこう仰られました:-実にイーマーンの徒こそは成功するのだ。,(クルアーン231
 
     正しい導き:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そして実にアッラーは、イーマーンの徒を真っ直ぐな道にお導きになられるお方である。,(クルアーン2254
 
     勝利:崇高なるアッラーはこう仰られました:-イーマーンの徒を勝利させるのは、われら(アッラーのこと)の義務であるのだ。,(クルアーン3047
 
     偉力:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そして偉力というものはアッラーに、そしてその使徒とイーマーンの徒らにこそ属するのである。,(クルアーン638
 
     地上におけるアッラーの代理人としての権威と堅固さ:崇高なるアッラーはこう仰られました:-アッラーはあなた方の内のイーマーンの徒で正しい行いに勤める者たちに、彼ら以前の者たちにもそうしたように、地上でのかれの代理人としての権利を授けることを約束した。またかれがお悦びになられる宗教を彼らのために確立させ、そして恐怖の後に平安を与えることを。彼らはわれ(アッラーのこと)のみを崇拝し、われに何ものをも並べたりしない。,(クルアーン2455
 
     彼らをお守りになること:崇高なるアッラーはこう仰られました:-実にアッラーはイーマーンの徒をお守りになられる。,(クルアーン2238
 
     平穏:崇高なるアッラーはこう仰られました:-イーマーンの徒で、自らのイーマーンに不正を施さない者たち[16]。彼らには平穏と正しい導きがある。,(クルアーン682
 
     救済:崇高なるアッラーはこう仰られました:-それからわれら(アッラーのこと)は、われらの使徒たちとイーマーンの徒らを救出する。このようにイーマーンの徒の救済はわれらの義務なのである。,(クルアーン10103
 
     よい生活:崇高なるアッラーはこう仰られました:-男性であれ女性であれ正しい行いをするイーマーンの徒には、われら(アッラーのこと)がよい暮らしを送らせよう。そして彼らが行っていたものに対し、最良の報奨をもって報いよう。,(クルアーン1697
 
     不信仰者のくびきからの守護:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そしてわれら(アッラーのこと)は、不信仰者をイーマーンの徒に勝利させることはない。,(クルアーン4141
 
     祝福の享受:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そしてもし(預言者や使徒が遣わされた)町の住人たちが信仰(イーマーン)し、(アッラーのお怒りや懲罰を招くような事柄から)身を慎んでいたら、われら(アッラーのこと)は彼らに対して天と地からの祝福をたやすいものとしたのだが。しかし彼らは(われらのみしるしと使徒らを)嘘つき呼ばわりしたので、われらは彼らが行っていたところのものによって彼ら罰したのだ。,(クルアーン796
 
     アッラーと共にあるという特権:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そしてアッラーはイーマーンの徒と共にある。,(クルアーン819
 
2-一方来世における約束には次のようなものがあります:
 
     永劫の天国に住まいを得、至高のアッラーのお悦びを獲得すること:崇高なるアッラーはこう仰られました:-アッラーは男性と女性のイーマーンの徒に、その下を河川がたゆたうところの楽園に彼らが永遠に留まり、エデンの楽園の中によき住まいを得ることを約束した。そしてアッラーのお悦びこそは(それら全てよりも)偉大(な報奨)である。これこそが何物にも比べようもない偉大な成功なのだ。,(クルアーン972
 
     偉大かつ荘厳なるアッラーを直に見る栄誉:崇高なるアッラーはこう仰られました:-その日(成功者たちの)顔は輝く。その主を目にして。,(クルアーン752223
 
● 前述の現世で約束されている事柄の特徴を見てみると、それらは多くの現代ムスリムの生活の中には反映されていません。このことは私たちのイーマーンの脆弱さを如実に示しているのです。そしてこれらアッラーが約束されていることを現世において獲得するには、私たちが既に備えているイーマーンを、それらの約束の実現において求められているイーマーンでもって強化しなければなりません。つまり私たちのイーマーンや行いを、預言者たちやその教友らのそれのように高めなければならないのです。
 
1至高のアッラーは仰られました:-そしてもし彼らがあなた方が信仰(イーマーン)するように信仰したのなら、彼らは正しく導かれたのだ。しかしもしそこから背くのであれば、彼らは別の道にある。アッラーはあなたを彼らからお守りになろう。かれは全てを聴き、ご存知になるお方である。,(クルアーン2137
 
2至高のアッラーは仰られました:-信仰(イーマーン)する者たちよ、アッラーとその使徒と、かれ(アッラーのこと)がその使徒に下した啓典と、それ以前に下した全ての啓典を信仰せよ。アッラーとその諸天使と諸啓典、諸使徒と来世を信じない者は、実に遥か遠くに迷い去っているのだ。,(クルアーン4136
 
3至高のアッラーは仰られました:-信仰(イーマーン)する者たちよ、イスラームという服従を余すことなく受け入れよ。そしてシャイターン(悪魔)の歩みに従ってはならない。彼らはあなた方にとって明白な敵なのだから。,(クルアーン2208
 
● アッラーの命令されたことを行い、禁じられたことを回避するという行為は、偉大かつ荘厳なるアッラーへの信仰と、創造主・真の王権の主の比類ない偉大さを常に念頭に置くことに基づいています。それはつまりかれを頻繁に想起することです。そして常にアッラーを想起し、かつかれを心に深く繋ぎとめておくために、かれはそのしもべに断続的にかれを想起させ、繰り返し行われるある行為を定められました。それがつまりイバーダ(崇拝行為)です。イーマーンが増大し高まれば、行いも増大し高まります。そして現世と来世における幸福という勝利によって、状況は改善されるのです。そしてその逆もまた真なのです。
 
1-至高のアッラーは仰られました-信仰(イーマーン)する者たちよ、アッラーを頻繁に念じよ。そして朝に夕にかれの崇高さを讃えるのだ。,(クルアーン334142
 
 2至高のアッラーは仰られました:-そしてもし(預言者や使徒が遣わされた)町の住人たちが信仰(イーマーン)し、(アッラーのお怒りや懲罰を招くような事柄から)身を慎んでいたら、われら(アッラーのこと)は彼らに対して天と地からの祝福をたやすいものとしたのだが。しかし彼らは(われらのみしるしと使徒らを)嘘つき呼ばわりしたので、われらは彼らが行っていたところのものによって彼らを罰したのだ。,(クルアーン796

[1] 訳者注:「8.イーマーン」の項参照。
[2] 訳者注:つまり全ての者。
[3] 訳者注:精霊的存在。
[4] サヒーフ・ムスリム(2577)。
[5] 訳者注:彼らは当時のアラブ社会においてイスラーム改宗以前から高い社会的地位を有しており、かつ裕福でした。
[6] 訳者注:彼らはいずれも過去に奴隷階級であった者たちです。
[7] 訳者注:この3人は全て預言者ムーサー(モーゼ)と同時代の人物。フィルアウンは言わずと知れた当時のエジプトの暴君で、ハーマーンはその宰相。一方カールーンはムーサー同様彼らから抑圧されていたイスラエルの民出身の者でしたが、莫大な財産によって現世の虚飾に耽溺し奢り高ぶったため、アッラーによって滅ぼされました。
[8] 訳者注:「4.シルク」の項参照。
[9] 訳者注:ナルムードは預言者イブラーヒーム(アブラハム)当時のバビロンの王。強大な権力に酔いしれ、不信仰に陥っていました。
[10] 訳者注:アードの民は肉体的に強大で栄えていましたが、預言者フードが彼らのもとに遣わされたときに彼に従わなかったため、アッラーから送られた暴風雨によって滅亡しました。
[11] 訳者注:シュアイブはマドゥヤンというアラブ半島の1都市に遣わされた預言者。その民は不信仰と不法な商業取引に溺れており、シュアイブは彼らをアッラーのみへの信仰と公正な商売へといざないました。しかし彼らがそれに従わなかったため、アッラーは彼らに懲罰を下されました。
[12] 訳者注:灌漑農業によって栄えていた古代イエメンの王国。不信仰ゆえに洪水によって滅ぼされました。
[13] 訳者注:アラブ半島に栄えた部族で、岩山を穿った住居に住んでいたと言われます。預言者サーリフが彼らに遣わされましたが、彼に従わなかったために滅ぼされました。
[14] 訳者注7を参照のこと。
[15] 訳者注13を参照のこと。
[16] 訳者注:ここにおける「不正」とは、シルク(「4.シルク」の項参照)のこと。サヒーフアル=ブハーリー、サヒーフ・ムスリムに収録されている伝承の中で、預言者ムハンマドは自らその教友たちに対し、この句の中の「不正」という言葉をクルアーンの別の箇所「息子よ、アッラーに何ものをも並べてはならない。実にシルクこそはまたとない不正である。(3113)」を引用して説明しています 。
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