المساقاة والمزارعة
• تعريف المساقاة والمزارعة. • فضل المساقاة والمزارعة. • حكمة مشروعية المساقاة والمزارعة. • حكم المساقاة والمزارعة. • حكم الجمع بين المساقاة والمزارعة. • حكم إجارة الأرض. • حكم اقتناء الكلاب. • حكم من أحرق مال غيره بغير قصد.
13-果樹と農作物の委託栽培
● 果樹の委託栽培とは:自分が所有するナツメヤシ、葡萄の木など果実をつける果樹を、そこから収穫される果実をあらかじめ明確に定めた比率において‐50%、あるいは25%など‐譲渡することを条件に、その水の供給やその他必要な仕事の遂行を他人に任せることです。その際残った果実は、所有主のものとなります。
● 農作物の委託栽培とは:そこから収穫される農作物をあらかじめ明確に定めた比率において‐50%、あるいは25%など‐譲渡することを条件に、自分が所有する土地を他人に耕させることです。そしてその際残った農作物が、所有主のものとなります。
● 果樹と農作物の委託栽培の徳:
アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“ムスリムが種を蒔いたり、耕したりして育てた物を鳥や人間や動物が食するならば、その者はそれによってサダカ(施し)をしたことに他ならないのだ。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[1])
● 果樹と農作物の委託栽培が定められたことに潜む英知:
世の中には土地と果樹、あるいは土地と種を所有しながらも、知識や時間の不足などの理由で、自らはそれらの水の供給や世話をすることの出来ない者がいます。そしてその一方ではその仕事をこなすだけの能力がありながらも、果樹や土地を所有していない者がいます。
このような中でイスラームはこの両者の福利のため、果樹の委託栽培と小作を合法化しました。そしてそれは地上の開拓と資源の開発のためであり、また仕事の能力を備えていながらも財産や果樹を所有しない者たちの力を稼動させるためのものでもあるのです。
● 果樹と農作物の委託栽培の法的位置づけ:
果樹と農作物の委託栽培はその遂行の遵守が両者に義務付けられる類の契約であり、相手の合意なしに勝手に契約破棄することは出来ません。そして契約にはいかに長くても明確な期限の規定と、かつ契約内容に対する両者の満足が条件付けられます。
● 果樹と農作物の委託栽培をまとめることに関して:
果樹と農作物の委託栽培を、1つの農園でまとめて行うことは可能です。つまり小作人は、果樹の所有主とあらかじめ明確に定めた比率において果実を分け合うことを条件に果樹の世話をし、そして収穫される農作物をあらかじめ明確に定めた比率において分け合うことを条件に、地主が所有する土地を耕作するのです。
イブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はそこになる果実や農作物を半分ずつ分けることを条件に、ハイバルの民を(小作人、あるいは委託人として)使いました。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2])
● 農作物の委託栽培に関する不平等な条件の禁止:
農作物を委託栽培するに際し、給水路や給水施設付近の土地に生えた農作物をどちらか一方の取り分としたり、あるいは土地のある一面に生育した農作物をどちらか一方の取り分としたりするような契約は禁止されています。
というのもこのような契約にはガラル[3]や不明確さ、そして諸々の危険性‐つまり耕作地の一面には農作物が無事に育ち、もう一面の農作物が全滅したりすることで、契約者間に諍いが発生すること‐が潜んでいるからです。
● 土地の賃貸に関して:
土地を金銭、あるいはそこから生じる物をあらかじめ明確に定めた比率において‐50%、あるいは75%など‐分け合うことを条件に賃貸することは合法です。
● リバー[4]や詐欺、非合法な取引などイスラーム法に抵触することがない範囲であれば、農業であれ工業であれ、あるいは商業であれ建設事業であれ、非ムスリムと共同して行うことに問題はありません。
● 犬を飼育することに関して:
狩猟や家畜や農園の番などの福利に叶うことにおいてでなければ、ムスリムが犬を飼育することは許されません。預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「狩猟や家畜(の番)、土地(の番)のためにではなく犬を飼う者は、毎日その報奨から2カラットずつ差し引かれるであろう。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5])
● 故意にではなくして他人の財を焼失させてしまった場合:
何らかの正当な理由で自分の所有地において火を焚いたところ、風で火が飛んで他人の財を焼失させてしまった、というような場合、もしその者に焼失した財産を償う能力がなければ、その責任は問われません。
[1] サヒーフ・アル=ブハーリー(2320)、サヒーフ・ムスリム(1553)。文章はアル=ブハーリーのもの。
[2] サヒーフ・アル=ブハーリー(2328)、サヒーフ・ムスリム(1551)。文章はアル=ブハーリーのもの。
[3] 訳者注:「ガラル」とは:人の知識が及びにくく、その実情‐実は存在していなかったり、不明瞭であったり、入手不可能であったりすることなど‐が分からないような物事のことです。
[4] 訳者注:詳しくは「④リバー」の項を参照のこと。
[5] サヒーフ・アル=ブハーリー(2322)、サヒーフ・ムスリム(1575)。文章はムスリムのもの。